日 時 | 2013年01月23日(水) 16:00 より 17:00 まで |
---|---|
講演者 | 古屋敷 智之 先生 |
講演者所属 | 京都大学大学院医学研究科 神経細胞薬理学分野 |
お問い合わせ先 | 鍋倉淳一(生体恒常発達機構研究部門 内線7851) |
要旨 |
社会や環境から受ける過度のストレスやその遷延化は、抑うつなどの情動変化を誘導し、精神疾患のリスク因子となる。しかし、その分子・神経回路基盤は長らく不明であった。我々は、マウスの反復ストレスによる抑うつ誘導に内側前頭前皮質ドパミン系の抑制が必須であること、その過程にミクログリア由来の炎症関連分子プロスタグランジンE2が寄与することを示してきた。現在、反復ストレスによる神経グリア相互作用の分子基盤に迫るため、細胞種特異的な網羅的遺伝子発現解析を行っている。その結果、反復ストレスにより、自然免疫系を活性化する内因性ダメージ関連分子群DAMPsが脳内の多様な細胞種で誘導されることを見出した。さらに、DAMPs受容体であるToll-like receptor (TLR)はミクログリアに発現してお り、反復ストレスによるミクログリア応答と抑うつ誘導に必須であった。以上の結果は、反復ストレスにおける自然免疫関連分子を介したミクログリア制御の役割を示唆する。本講演では、これら最新の知見を紹介し、自然免疫関連分子によるミクログリア制御がドパミン依存的な情動神経回路の機能変容を誘導するメカニズムについて、その展望を議論したい。 |