日 時 | 2013年12月09日(月) 12:15 より 13:15 まで |
---|---|
講演者 | 立山充博 |
講演者所属 | 神経機能素子研究部門 |
お問い合わせ先 | 古江秀昌(神経シグナル#5887) |
要旨 |
G蛋白質共役型受容体(GPCR)は、アゴニストとの結合により活性化し、三量体Gタンパク質を介して多様な細胞内応答を引き起こす。我々は、アゴニスト結合による受容体の構造変化、および構造変化に対するGタンパク質結合の効果について、FRET計測により検討した。Gq共役型受容体であるムスカリン受容体3型(M3R)やプリン受容体1型(P2Y1R)の細胞内第3ループ(i3)とC末端に、蛍光タンパク質YFPとCFPをそれぞれ付加し、そのFRET効率を測定すると、アゴニスト投与による有意なFRET減少が観察された。βアドレナリン受容体のX線構造解析によりi3に連なる6番目の膜貫通部位がアゴニスト結合時に受容体の中心部から外にずれることが示されていることと併せると、FRET減少はアゴニスト結合による活性型構造を反映するものと考えられる。我々は、さらに、i3への蛍光タンパク質の挿入を工夫することでGq蛋白質活性化能を維持したFRETコンストラクトの作製に成功した。これらのコンストラクトもアゴニスト投与によるFRET減少を示したが、その減少量はGq蛋白質の共発現によりM3Rでは有意に増大した。これは、Gqタンパク質の結合によりM3Rの活性化構造が安定化したものと考えられた。一方、アゴニスト投与によるP2Y1RコンストラクトのFRET減少はGq蛋白質を共発現しても有意な変化を示さなかった。以上の結果は、アゴニストの結合した活性型構造の安定性が受容体により異なることを示唆するものである。 ところで、ムスカリン受容体1型(M1R)の活性化構造は、膜電位により影響を受けることが示唆されている。そこで、我々は、M1RのFRETコンストラクトを用い膜電位依存性について解析を行った。その結果についても紹介したい。 |