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セミナー詳細

2014年06月27日

報酬および忌避学習に関わる線条体の経路特異的役割

日 時 2014年06月27日(金) 16:00 より 17:00 まで
講演者 矢和多 智 先生
講演者所属 大阪バイオサイエンス研究所
お問い合わせ先 小川正晃(認知行動 7764)
要旨

大脳基底核神経回路には、線条体から黒質網様部に投射する直接路と、淡蒼球を 介する間接路があり、そのバランスにより機能を果たしていると考えられてい る。しかしながら、二つの経路の神経細胞は形態的・電気生理学的にも違いがな く、それぞれの経路がどのような機能を果たしているか不明であった。我々は、 経路特異的神経伝達阻止法を開発し、直接路または間接路を特異的に神経遮断 し、それぞれの経路特異的な機能を解析した。その結果、報酬学習には腹側線条 体の直接路細胞およびドーパミンD1受容体が、また行動柔軟性には間接路およ びドーパミンD2受容体が必要であることが分かった。また、忌避学習における 直接路および間接路の特異的役割を明らかにした。

直接路および間接路細胞は腹側被蓋野からのドーパミンにより制御されている。 そこで、光遺伝学的手法を用いドーパミン細胞の活動を制御することで、どのよ うな行動が誘導されるかを観察した。その結果、ドーパミン細胞の活動低下が場 所嫌悪学習を引き起こすこと、またその学習にはドーパミンD2受容体が必要で あることを明らかにした。

Yawata S, Yamaguchi T, Danjo T, Hikida T, Nakanishi S.
Pathway-specific control of reward learning and its flexibility via selective dopamine receptors in the nucleus accumbens.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Jul 31;109(31)

Danjo T, Yoshimi K, Funabiki K, Yawata S, Nakanishi S.
Aversive behavior induced by optogenetic inactivation of ventral tegmental area dopamine neurons is mediated by dopamine D2 receptors in the nucleus accumbens.
Proc Natl Acad Sci U S A. 111(17):6455-60, 2014