Research

研究活動

セミナー詳細

2015年09月02日

神経突起形成における膜タンパクsez-6のN型糖鎖機能の解析について

日 時 2015年09月02日(水) 16:00 より 16:40 まで
講演者 日高 千晴 博士
講演者所属 群馬大学大学院・保健学研究科
場 所 生理学研究所 1階講義室
お問い合わせ先 深田正紀 (生理研 生体膜 内線5873)
要旨

 一回膜貫通型の膜タンパク質で細胞外ドメイン上に11個のN型糖鎖修飾サイトを持つ糖タンパクであるSeizure-related gene 6 (sez-6)は神経の過剰興奮を誘発することによりmRNAの発現が上昇し、大脳皮質や海馬に置いて高い発現が見られる。特に生後一週間に高い発現を示し、sez-6の欠損は樹状突起の分岐やシナプス形成に影響を与えることが知られている。
 脳内の膜タンパク質の多くはN型糖鎖修飾を受けており、機能発現に糖鎖が重要な働きをすることが近年明らかになりつつある。従ってsez-6の機能発現においても糖鎖が何らかの役割を担っていることが推測されるが、sez-6の糖鎖修飾についての報告は今のところ知られていない。そこでsez-6のN型糖鎖の役割について検討した。
 本研究では、11個のN型糖鎖修飾サイトを3つのクラスター(SC1-3, SC4-7,SC8-11)に分け、部分的に欠損させた7つのsez-6変異体を作製し、それらをNeuro2aに遺伝子導入し発現させ機能発現における糖鎖の影響を解析した。 結果、未成熟型糖鎖修飾を受けたsez-6変異体は成熟型と同様に細胞膜上までは輸送されることが出来るが、細胞膜全体に局在する能力を失っていた。また変異体の中で成熟型糖鎖修飾を受け、局在は野生型と同様であったにも関わらず糖鎖を部分的に欠損させたsez-6変異体は糖鎖の部分欠損により突起形成機能に影響をあたえることも明らかとなった。特にSC4-7クラスターを欠損したsez-6変異体はフィロポディア新生が促進されなくなっていた。 今回の結果はsez-6上のN型糖鎖がsez-6の分布や機能発現に必要であることを示唆する。また突起形成能においてはCUBドメイン上のN型糖鎖修飾が必要であることが推測される。