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研究活動

セミナー詳細

2016年05月17日

疼痛評価を目的とした脳内情報処理の基礎的研究

日 時 2016年05月17日(火) 15:00 より 16:00 まで
講演者 大鶴 直史 先生
講演者所属 新潟医療福祉大学医療技術学部、新潟医療福祉大学運動機能医科学研究所
場 所 生理研明大寺研究棟1階セミナー室
お問い合わせ先 統合生理研究部門 木田哲夫(内線7752)
要旨

痛みは主観的な感覚であり、器質的、認知的、心理的要因など様々な要因によって修飾を受けることが知られている。そのため、痛みの評価には多面的評価が重要である。そこで我々は、脳波および脳磁場計測装置を用いて、「疼痛評価を目的とした脳内情報処理の基礎的研究」を主要なテーマに、以下の3つの研究を行ってきたので紹介する。

①痛覚神経の選択的な刺激方法の開発:これまで、痛みを伝える神経であるAδおよびC線維の選択的刺激は困難であるとされてきた。そこで、我々は表皮内電気刺激法とよばれる手法を開発し、AδおよびC線維の選択的評価法を考案してきた(Inui et al., 2002, Otsuru et al., 2009, 2010)。この手法は多くの基礎研究に応用されており、一部では臨床での使用も行われている。
②変化検出システムと痛みの心理特性:我々はこれまでに、先行情報と異なる情報が入力された時、すなわち変化を検出する際の皮質活動に関する研究を行ってきた(Inui et al., 2009, 2010 他多数、Otsuru et al., 2011, 2012)。現在、この変化検出システムの反応が、痛み受容に影響を及ぼす心理学的特性と関連があるのではないかと予想している。
③自己身体認知に関する研究:自分の体は自分のものであるという感覚(自己身体所有感)が、慢性疼痛患者で破綻しているという報告が数多くなされている。健常者において、自己身体所有感の操作が脳内情報処理にどのような影響を及ぼすか検討を行ってきた(Otsuru et al., 2014)。その概要をご紹介する。