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研究活動

セミナー詳細

2016年06月10日

拡散強調MRIを用いた視覚情報伝達機構の研究

日 時 2016年06月10日(金) 15:00 より 16:00 まで
講演者 竹村浩昌先生
講演者所属 日本学術振興会 特別研究員、大阪大学大学院生命機能研究科 招へい研究員
場 所 生理研(明大寺) 1階 セミナー室
お問い合わせ先 福永雅喜(心理生理学研究部門)
要旨

 ヒトの大脳皮質は白質と呼ばれる領域を介した長距離の線維連絡を多く持ちます。白質を通じた線維連絡は、機能的に異なる様々な脳領域どうしの情報伝達に重要であると考えられます。近年の拡散強調MRI法の進展により、白質の線維束をヒト生体脳において同定することが可能となりました。今回の発表では拡散強調MRI法の原理や特徴、解析手法の進展および神経科学研究に果たす役割について解説を行ったのち、実際に私が行っている視覚系を対象とした研究をご紹介します。
 第一に、拡散強調MRIを用いてヒトとサルの脳において空間情報処理に関わる背側視覚野と物体認識処理に関わる腹側視覚野をむすぶ白質線維束を同定した研究成果をご紹介し、この線維束が視覚処理に果たす役割やヒトとサルの類似点および違いについて論じます。第二に、網膜疾患症例を対象とした拡散強調MRI計測を通じて、網膜の疾患が白質組織に及ぼす影響を明らかにした研究をご紹介します。第三に、視覚系における白質線維束の組織特性とヒトの視覚機能の個人差の関係を検証した実験について紹介します。
 最後に、これらの研究成果を踏まえた上での今後の展開や実際に拡散強調MRIを用いた研究を進める上での注意点についても議論させていただきたいと思います。