日 時 | 2016年06月24日(金) 16:00 より 17:00 まで |
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講演者 | 松井 毅 |
講演者所属 | 理化学研究所 統合生命医科学研究センター 皮膚恒常性研究チーム 上級研究員 |
場 所 | 山手3号館9階東 セミナー室B |
お問い合わせ先 | 古瀬幹夫(細胞構造研究部門) |
要旨 |
陸上脊椎動物(両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類)の体表面は、気相環境に適応するために、重層扁平上皮組織である表皮によって覆われている。皮膚表皮は、体表面に向かって基底層・有棘層・顆粒層・角質層からなる層構造で構成されている。基底層で分裂した表皮細胞は、有棘層・顆粒層を経て、細胞死を起こし、気相ー液相境界バリアである角質層を形成する。私達は以前、哺乳類特異的に獲得され、皮膚表皮の顆粒層に特異的に発現するレトロウイルス由来プロテアーゼのSkin Aspartic Protease (SASPase) が、マウスにおいて角質層の「保湿」を制御することを明らかにした。しかし、顆粒層細胞自体の細胞生物学的解析手段がないために、SASPaseによる角質層の保湿制御機構をはじめとして多くの現象に不明の部分が多い。この問題にアプローチするために私達は、最近マウス顆粒層を分離・培養し、細胞死を誘導する系を構築した。その結果、マウス顆粒層細胞の細胞死における顆粒消失や核膜の変化には、細胞外のCa2+やpHが重要な役割を果たしていることが明らかになった。この系を様々な陸上脊椎動物の皮膚表皮角質層の解析に適用することで、皮膚表皮の適応進化機構が細胞生物学的に明らかになっていくと考えられる。
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