Research

研究活動

セミナー詳細

2016年07月27日

聴性定常応答による聴覚機能に関する諸現象の基礎的検討

日 時 2016年07月27日(水) 15:00 より 16:00 まで
講演者 田中慶太准教授
講演者所属 東京電機大学 理工学部 電子・機械工学系
場 所 生理研(明大寺) 1階 セミナー室
お問い合わせ先 岡本秀彦(統合生理研究部門 内線7755)
要旨

我々は,これまで聴性定常応答(ASSR)の周波数選択性を利用して,聴覚機能に関する諸現象を検討している.今回は,主に以下の3つの研究に関して紹介する.

(1)聴覚機能にみられる確率共鳴現象
確率共鳴現象とは,信号に弱い雑音を加えると,系の非線形性によって,信号に対する反応が雑音がないときよりも強くなる現象である.本研究は,聴覚において確率共鳴現象が見られるか,ASSRにより検討した.その結果,刺激音に微弱な雑音を混入した方がASSRの振幅が増加した.この結果より確率共鳴現象が聴覚でも見られることを明らかにした.

(2)言語音の両耳聴取時における優位性の評価
言語認知に関する大脳半球機能の検査に両耳分離聴検査が用いられる.本研究ではASSRを利用して両耳聴取時における同側・対側応答を弁別し言語音に対する大脳半球機能を検討した.その結果,行動評価と同じく右耳優位性を示した.

(3)情動による聴性定常応答への影響
情動画像呈示と律動的聴覚刺激を同時に行い,情動画像の覚醒価の変化がASSRに及ぼす影響を検討した.その結果,Calm,Neutral画像に比べ,Excited画像呈示時に,ASSRの振幅は増加した.このことより情動の覚醒価により聴性定常応答は変調することを示唆する.