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セミナー詳細

2016年12月09日

Ca2+シグナリングにおける新たな作用点:初期分泌経路におけるALG-2 のアダプター機能の研究

日 時 2016年12月09日(金) 15:00 より 15:45 まで
講演者 京 卓志先生
講演者所属 名古屋大学大学院生命農学研究科
場 所 生理学研究所(明大寺地区)1F大会議室
お問い合わせ先 深田正紀 (生理研 生体膜 内線5873)
要旨

  Ca2+シグナリングは、神経伝達、筋収縮、さらには発生など様々な生理機能に関わっている。このシグナルはおもにCa2+結合タンパク質によって伝達される。そのためCa2+結合タンパク質の機能を明らかにすることはCa2+シグナリングを理解する上で極めて重要である。ALG-2はCa2+に応答して2者のタンパク質間の相互作用を仲介するアダプタータンパク質である。これはCa2+シグナリングにおいて独特な位置を占める機能様式である。私は、初期分泌経路におけるALG-2のアダプター機能に関する研究に携わった。初期分泌経路とは、小胞体で合成されたタンパク質をゴルジ体へと輸送する経路である。この過程はCOPII小胞が担っている。COPII小胞は小胞体の特別な領域であるERES(ER exit sites)において形成される。本セミナーでは、まず、ALG-2がCOPII小胞の構成タンパク質の一つであるSec31Aと、リン脂質結合タンパク質AnxA11をアダプトすることで、小胞体からのタンパク質輸送を制御している可能性について紹介する。さらに、COPII小胞の構成タンパク質ではないが、ERESに局在するTFGに対して、ALG-2がアダプタータンパク質として機能することで、その多量体形成や細胞内局在を調節するという知見を報告する。Ca2+シグナリングにおける新たな作用点としての、初期分泌経路におけるALG-2の生理的役割について議論したい。