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2017年01月24日

新生仔マウスの興奮性細胞におけるギャップ結合の発現は樹状突起スパインの密度と反応の信頼性を制御する

日 時 2017年01月24日(火) 16:00 より 17:00 まで
講演者 林 健二 博士
講演者所属 東京大学大学院医学系研究科 統合生理学研究室
場 所 生理学研究所(明大寺地区)1F大会議室
お問い合わせ先 吉村由美子(視覚情報処理研究部門、7731)
要旨

  新生仔マウスの新皮質において、興奮性細胞は出生後2週までギャップ結合によって相互結合し、神経回路の発達の制御を行うと考えられています。とりわけconnexin43サブタイプは、興奮性細胞において胎児期および出生後の早い時期特異的に発現することが知られます。しかしながら、ギャップ結合は皮質板での神経細胞の移動に必須であり、細胞移動に影響を与えることなくギャップ結合の機能を抑制することの技術的な難しさから、ギャップ結合の神経回路発達における機能は未解明のままでした。そこで我々は、tet作動性のノックダウンシステムを構築し、shRNAの発現をdoxycycline依存的に制御することで、細胞の移動に影響を与えることなく、出生後の発達期にのみconnexin43をノックダウンすることを可能にしました。成熟後の一次視覚野にて2光子励起顕微鏡でin vivo Ca2+イメージングを行い、視覚機能に対する影響を評価したところ、ノックダウン細胞では視覚応答の信頼性が減少し、それに伴い方位選択性が鋭くなることを明らかにしました。さらに、ノックダウン細胞では樹状突起スパインの密度が低下していました。これらのことは、適切なconnexin43の発現レベルが、スパインの密度の制御を介して、方位選択性の鋭さと反応の信頼性のバランスを調整することを示していると考えられます。