日 時 | 2017年02月07日(火) 13:00 より 14:00 まで |
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講演者 | 近藤 邦生 博士 |
講演者所属 | 米国 フレッドハッチンソン癌研究所 |
場 所 | 生理学研究所(明大寺地区)1F大会議室 |
お問い合わせ先 |
生体膜研究部門 深田正紀(5873) 生殖・内分泌系発達機構研究部門 箕越靖彦(7741) |
要旨 |
動物が生き残るためには危険に対して恐怖を感じ適切な対応することが重要である。マウスなど多くの動物は、天敵のにおいを嗅ぐと逃避やすくみなどの恐怖行動に加えて血中ストレスホルモンの増加を伴う恐怖の生理的反応を示す。我々は、においの情報を受け取る脳の領域である嗅皮質において、天敵のにおいに対するストレスホルモン応答に関わる領域を同定した。ストレスホルモン応答は脳の視床下部に存在するCRHニューロンによって制御されている。CRHニューロンに 天敵のにおいの情報を伝える神経回路を明らかにするため、我々は仮性狂犬病ウイルスを用いて、特定の神経細胞にシグナルを伝達する上流の神経細胞を同定する方法を確立した。その結果、天敵のにおいによって活性化されてCRHニューロンにシグナルを伝達する神経細胞が扁桃体梨状皮質移行領域(AmPir)と呼ばれる嗅皮質の領域に存在していることがわかった。AmPirを人為的に活性化するとストレスホルモン応答が誘導され、 AmPirを抑制すると恐怖行動に影響することなく天敵のにおいによるストレスホルモン応答が抑制された。以上の結果より、AmPirが天敵のにおいに対する生理的な恐怖反応において重要な役割を果たしていることが明らかになった。 |