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セミナー詳細

2017年06月29日

高脂肪食に伴う視床下部炎症の摂食促進ニューロンへの作用について

日 時 2017年06月29日(木) 16:00 より 17:00 まで
講演者 平澤みちる
講演者所属 Division of Biomedical Sciences, Faculty of Medicine, Memorial University St. John’s, Newfoundland, Canada
場 所 生理学研究所(明大寺地区)1F講義室
お問い合わせ先 窪田芳之 (大脳神経回路論研究部門 yoshiy@nips.ac.jp)
要旨

高脂肪食を原因とする肥満は脳の炎症を伴い、これが肥満の一因となることが知られている。しかし、この様な脳の炎症が視床下部に混在する摂食・体重増加を促進または抑制するニューロンにどの様に影響するかはよく知られていない。そこで我々はパッチクランプの手法を用い、高脂肪食を与えたラットの視床下部において摂食・体重増加を促進する神経群のひとつであるMCH (melanin-concentrating hormone)ニューロンの機能的変化を調べた。その結果、高脂肪食を4週間以上摂食した群ではMCH ニューロンの脱分極が見られた。これは炎症因子であるプロスタグランジンE2がMCHニューロンのNa+/K+ポンプを抑制することによるものであった。また、高脂肪食を4週間(MCHニューロンが脱分極するのに十分な期間)与えたラットにMCH拮抗薬を投与すると摂食・体重の増加が有意に抑制された。以上から、高脂肪食はプロスタグランジンE2を介して視床下部内の摂食促進性のMCHニューロンを活性化させ、肥満を誘発・促進するものと考えられる。

平澤先生のURL: http://www.med.mun.ca/Medicine/Faculty/Hirasawa,-Michiru.aspx