日 時 | 2017年07月28日(金) 16:00 より 17:00 まで |
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講演者 | 林 悠 先生 |
講演者所属 | 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 准教授 |
場 所 | 生理学研究所(明大寺地区)1Fセミナー室AB |
お問い合わせ先 | 揚妻正和 (生体恒常性発達研究部門 age@nips.ac.jp) |
要旨 |
哺乳類の睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠という2つのステージから成る。夢を生じるレム睡眠は、その役割が脳科学における大きな謎であった。また、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えのメカニズムもよく分かっていなかった。今回私たちは、マウスの胎生期において、特定の細胞系譜を遺伝学的に標識し、生後にその神経活動を操作するという新規のアプローチにより、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えを担うニューロンを同定した。これにより、任意のタイミングでレム睡眠を阻害できる方法を確立した。その結果、レム睡眠には記憶の形成に重要な神経活動とされる徐波を、ノンレム睡眠時に誘発する役割があることを明らかにした(Hayashi et al., Science 350, 957-961, 2015)。さらに最近では、レム睡眠を数週間に亘って操作することも実現した。今後、レム睡眠が脳の発達過程や老化などの長期的なプロセスに関与する可能性についても解明できると期待される。 |