日 時 | 2017年07月14日(金) 15:00 より 16:00 まで |
---|---|
講演者 | 田中 智弘 先生 |
講演者所属 |
岡崎統合バイオサイエンスセンター(生理学研究所) 心循環シグナル研究部門 NIPSリサーチフェロー |
場 所 | 山手 3号館2階西 共通セミナー室 |
お問い合わせ先 | 西田基宏(心循環シグナル研究部門・教授) |
要旨 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行に伴い、脊髄に存在する運動ニューロンは変性し、標的骨格筋の麻痺を引き起こす。その変性過程において、運動ニューロンは細胞死に先立ち、軸索末端が標的骨格筋から退縮する「除神経(denervation)」と呼ばれる現象がALS患者、モデルマウスにおいて認められ、運動機能低下の直接的な原因と考えられている。しかし除神経をターゲットとしたALS治療アプローチには未解明の点が多く残されていた。今回私たちは、神経―筋インターフェースに存在する細胞外マトリクス分子が除神経を抑制する可能性を検討し、1)細胞外マトリクス分子のリモデリングを引き起こす緩徐な運動によってALSモデルマウスの除神経が抑制されること、2)運動により細胞外マトリクス分子であるラミニンβ2がシナプス領域特異的に集積し、アクティブゾーンなどシナプス前終末の構造体を安定化することで除神経を遅延させる役割があることを明らかにした。今後、このような細胞外マトリクス分子を中心とした除神経を抑制・遅延させるメカニズムを解析していくことで、ALSなど除神経による運動機能低下を抑えるような新たな治療ターゲットの解明が期待される。 |