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セミナー詳細

2017年07月28日

有機蛍光「色素骨格」の開発

日 時 2017年07月28日(金) 16:00 より 17:00 まで
講演者 多喜正泰 先生
講演者所属 名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所
場 所 山手3号館2階西 大会議室
お問い合わせ先 宮成悠介 (5850)
要旨

  蛍光顕微鏡技術の目覚ましい発展は生命科学研究の手法を一変し,今なお進化し続けている。特に回折限界を超えた空間分解能を実現する超解像顕微鏡技術や生体分子の蛍光一分子追跡技術により,細胞内の複雑な微細構造や機能について多大な情報がもたらされてきた。しかし,一般に高い時空間分解能で蛍光イメージングを達成するためには,強いレーザー光照射が必要になる。例えばSTED顕微鏡は励起レーザーに加え,非常に強力なSTEDレーザーを照射して超解像画像を取得している。そのため,STED顕微鏡においては蛍光色素の褪色が著しく,イメージング画像の連続取得が困難であった。したがって,強レーザー照射下においても褪色しにくい蛍光分子を開発することは,細胞を用いたイメージング研究において重要な課題であるといえる。
我々は,既存の色素の構造修飾ではなく,典型元素をπ共役系に組み込むことにより,特異な性質を有するオリジナルの蛍光色素骨格を創出してきた。例えば,リンを含むπ共役骨格を平面固定化することにより,超耐光性とも形容できる極めて光安定性が高い蛍光色素を得ることに成功した。また最近では,リンオキシドを含む新しいキサンテン骨格も開発し,これが700 nm以上の近赤外蛍光特性
を有しながら,耐光性および化学的安定性に優れていることも見出している。
本講演では,細胞骨格の超解像3Dイメージング,マルチカラーSTEDイメージング,さらに一分子イメージングなど,様々な蛍光色素の特性を活かした最新の蛍光イメージング技術を紹介したい。

Poster
http://www.oib.orion.ac.jp/PDF/170728_Taki_poster.pdf