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セミナー詳細

2017年10月17日

眼球運動時の視覚世界の安定性に寄与する神経機構

日 時 2017年10月17日(火) 15:00 より 16:00 まで
講演者 稲場 直子 先生
講演者所属 北海道大学大学院・医学研究院・医学教育推進センター
場 所 生理学研究所(明大寺地区)1F大会議室
お問い合わせ先 生体恒常性発達研究部門 鍋倉淳一
要旨

眼が動いても安定した視覚を維持するには、「眼球運動によって生じる網膜像のブレ」と「運動の前後で生じる視覚的ギャップ」を補正し新たな視覚世界を連続的に再構成する必要がある。私はこの神経機構に興味を持ち、マカクサル高次視覚野MT野およびMST野からニューロン活動を記録した。その結果、①MT野からMST野への視覚情報伝達の間に「眼球運動によって生じる網膜像の動き」の補正が起こっていること、②MST野には「眼が動いた後の視覚情報」に加え「眼が動く前の視覚情報の記憶」に関連した活動を示すニュ-ロンが存在することを明らかにした。後者は「眼球運動前後の視覚的ギャップ」の補正に寄与していると考えられる。今後はこの系への入力源を明らかにし、これらの「眼球運動によって再帰的に起こる感覚入力の補正」に関わる情報処理プロセスをトリガーすると考えられる眼球運動指令の遠心性コピーの機能的意味の解明に展開していきたい。