日 時 | 2017年11月24日(金) 16:00 |
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講演者 | 黒川 竜紀 先生 |
講演者所属 | 大分大学医学部病態生理学講座 准教授 |
場 所 | 生理学研究所(明大寺地区)1Fセミナー室AB |
お問い合わせ先 | 久保義弘(神経機能素子研究部門) ykubo(a)nips.ac.jp |
要旨 |
TRPV1チャネルは、感覚神経細胞に発現が認められ、熱刺激、化学刺激といった侵害刺激に加えて、酸化ストレスにより活性化される。しかし、TRPV1における酸化ストレス感知は、システインの酸化的修飾を介していると考えられているが、その分子基盤は明らかになっていない。本研究で我々は、ヒトTRPV1(hTRPV1)の第258番目(Cys-258)と742番目のシステイン残基(Cys-742)間で、サブユニット間のジスルフィド結合を形成していることを見出した。これらシステイン残基をセリン残基に置換したC258SもしくはC742S hTRPV1ではタンパク質の安定性が減少していたことから、このサブユニット間のジスルフィド結合は、チャネルの安定化に重要であることが示唆された。興味深いことに、このC258S hTRPV1では、酸化剤による活性化は見られなくなっていた。さらに、質量分析計による解析により、Cys-258は酸化物に対して高い感受性を示した。以上の結果より、Cys-258は酸化を感知する役割とジスルフィド結合により構造を安定化させる2つの機能を有していることが示された。 |