日 時 | 2018年02月27日(火) 11:00 より 12:00 まで |
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講演者 | 佐藤能臣 特任助教 |
講演者所属 | 東北大学大学院情報科学研究科 |
場 所 | 生理学研究所(明大寺地区)4階462号室 心理生理学研究部門内カンファレンス ルーム |
お問い合わせ先 | 近添淳一(生体機能情報解析室) |
要旨 |
脳科学と人工知能との新たな対話が始まろうとしている。ここ数年、注目を集め、画像認識や音声認識などの様々な分野で高い性能を出した深層畳込みニューラルネットワーク(DCNN)は、脳の視覚野のsparse codingモデルの1つと考えられている。しかし、実際の脳は、sparse coding以外にも、rate codingやphase codingなどの神経コーディングによって外界の情報を処理していると考えられている。本講演では、ニューラルネットワーク理論の「情報量最大化原理」(入出力間の相互情報量が最大化されるようなネットワークの自己組織化的学習)と、その相互情報量と関連することが期待されるphase-amplitudecoupling(PAC)を用い人間の脳の視覚野から記録されたECoG時系列を解析することで見出されたcategory-selective phase codingとを組み合わせた、DCNNの改良研究を紹介する。そして、12カテゴリ、12000枚の膨大な数の画像をランダムに見せた注視課題中のマカクザルの下側頭葉皮質から記録されたECoG時系列をPAC解析することで、改良したDCNNが、脳原理的に妥当性が高い可能性を示唆する結果を示す。また、この解析から得られる知見をもとに、DCNNを用いた画像データ解析とfMRIデータ解析を組み合わせることで、個人の嗜好を模倣する人工ニューラルネットワークの実現の可能性について議論する予定である。 |