Research

研究活動

セミナー詳細

2018年02月16日

走査電子顕微鏡(SEM)の医学・生物学応用

日 時 2018年02月16日(金) 16:00 より 17:00 まで
講演者 甲賀大輔先生
講演者所属 旭川医科大学 解剖学講座
場 所 明大寺地区 生理研1F 大会議室
お問い合わせ先 池中一裕(分子神経生理部門 内線5245)
要旨

 走査電子顕微鏡(SEM)は、透過電子顕微鏡(TEM)による切片の二次元的な観察とは異なり、サンプルに電子線をぶつけてそこから発生する信号をモニターすることで、試料表面の立体(3D)形状や組成像を観察することができる魅力的な機器である。このようなSEMの特徴を生かして、これまで様々な細胞や組織の3D構造解析にこの装置が応用されてきた。またその過程で、一般的なSEM試料作製法では観察することができない構造(基底膜に囲まれた細胞の表面構造や細胞内の微細構造など)を可視化する目的で、多くの試料作製法が開発されてきた。このようにSEM 試料作製法は、TEMに比べると多様であり、観察対象に応じて工夫を凝らす必要がある点が難しいと言えるが、面白い点でもある。
また、近年私たちは3D・SEM再構築法の一つである「連続切片SEM法」を独自に開発し、ゴルジ装置の3D構造解析に応用してきた。このモダンな3D技法は、SEMによる切片観察(section face imaging)をベースにしている点が、FIB-SEMやSBF-SEMとは大きく異なっており、ユニークである。さらに、私たちはこの連続切片SEM法と免疫細胞化学手技を合わせた新たな3D技法の開発にも成功している。本講演では、これまでのSEM による医学・生物学領域における研究を通して開発されてきた新旧の試料作製法の中から、いくつかの有用な手法について紹介し、今後のバイオ研究におけるSEMの可能性について考えてみたい。