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セミナー詳細

2018年06月20日

新規光レーザー技術による非線形光学過程を用いたバイオイメージング

日 時 2018年06月20日(水) 13:00 より 14:00 まで
講演者 根本 知己先生
講演者所属 北海道大学電子科学研究所
場 所 生理研(明大寺) 1階 大会議室
お問い合わせ先 富永真琴
生理学研究所 細胞生理研究部門
生命創成探究センター 温度生物学研究グループ
要旨

生命機能の分子的基盤や創発原理の真の理解のためには、複数の分子、超分子複合体のダイナミクスを、生理的な条件を保ったままで、リアルタイムで高い空間分解で可視化することが必須である。このため、近年、光レーザー技術の進捗に伴い、細胞や生体組織の非侵襲的なイメージングを実現するものとして、多光子励起過程や高次高調波発生などの、複数光子と分子との同時相互作用による非線形光学過程が、盛んに用いられるようになってきた。特に、2光子顕微鏡法は生体組織深部での観察を可能とすることから、神経回路網や神経機能等の研究に広く用いられている。我々は、半導体レーザ、補償光学、ベクトルビーム等の技術を活用し生体in vivoイメージングにおける深部到達性や空間分解能向上や超解像顕微鏡化を推進してきた。特に、新規半導体レーザー光源や補償光学を活用することで、麻酔下のマウス生体脳で世界最深部1.6mmの蛍光断層イメージングを実現し海馬歯状回ニューロンの観察に成功すると共に、海馬CA1錐体細胞のリアルタイムin vivo Ca2+イメージングにも成功した。また、光渦、ベクトルビームなどの新規光ビームを用いて、新たにパルス式2光子STED顕微鏡を構築し、100nm以下の空間分解能を達成した。さらに多点走査型2光子顕微鏡の開発にも成功し、秒100フレームを超える超高速in vivoイメージングも実現しており、多くの研究者に技術提供をしている。本セミナーでは、最近の進捗を紹介すると共に、本法の可能性について議論を行いたい。