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セミナー詳細

2018年06月20日

新多細胞システムの機能的理解にむけて〜「観る」「摂動する」「つくる」の総力戦による取り組み

日 時 2018年06月20日(水) 15:00 より 16:00 まで
講演者 洲崎 悦生先生
講演者所属 東京大学大学院医学系研究科
場 所 生理研(明大寺) 1階 大会議室
お問い合わせ先 富永真琴
生理学研究所 細胞生理研究部門
生命創成探究センター 温度生物学研究グループ
要旨

多細胞生物は多種多様な細胞が相互に結合・連絡をしながら機能するシステムである。個体レベルの生命機能や疾患のメカニズムは、このような多細胞からなる回路やシステム(多細胞システム)に実装されている。本講演では、このような多細胞システムを読み解くことを目指した我々の基盤技術開発とその適応例を紹介し議論したい。多細胞システムの機能と構造を包括的に「観る」技術として、細胞階層のオミクス解析(Cell-omics)のための“CUBIC”パイプラインを構築し、全脳スケールの活動状態分離と責任細胞同定、全脳1細胞解像度での回路解析などを実現した。また、多細胞システムを「摂動する」技術として、交配無しでマウス個体への高速・並列なトランスジーン導入を可能とする「次世代マウス遺伝学」を構築し、概日リズム制御機構への摂動による個体レベルのリズム変動を多数解析することに成功した。さらに、多細胞同期振動体の最小構成を合成生物学的手法で紐解くため、in vitro視交叉上核分化系を構築し、概日振動を示す細胞塊の単離に成功した。これら最先端の基盤技術を基にした「多細胞システム生物学」実現にむけた取り組みは、今後幅広い生命科学・医学分野での知見の蓄積や応用へ貢献できると期待される。