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セミナー詳細

2019年01月10日

てんかん関連リガンド/受容体、LGI1-ADAM22によるシナプス架橋構造の発見とLGIファミリーに関する研究

日 時 2019年01月10日(木) 13:30 より 14:30 まで
講演者 宮﨑 裕理博士
講演者所属 生理学研究所 生体膜研究部門
場 所 山手3号館2階西 小会議室
お問い合わせ先 深田正紀 (生理研 生体膜 内線5873)
要旨

LGIファミリータンパク質(LGI1〜4)は、種々の脳神経疾患発症との関連が報告されている神経分泌タンパク質である。中でもLGI1遺伝子の変異は、家族性のてんかん(Autosomal dominant lateral temporal lobe epilepsy, ADLTE)を誘発することが知られている。我々はこれまでに、ADLTE患者が有するLGI1遺伝子のてんかん原性変異は、LGI1タンパク質の分泌不全や受容体分子ADAM22、ADAM23との結合不全を惹起することで、シナプス伝達異常を引き起こし、てんかんを誘発することを明らかにしてきた。一方で、本病態の全容解明に必要なLGI1–ADAM22(およびADAM23)複合体の分子構造基盤は明らかでなく、リガンド/受容体の結合がどのように正常なシナプス伝達に寄与しているかは不明であった。本セミナーでは、構造学的解析を基に明らかにした、LGI1–ADAM22(およびADAM23)高次複合体のシナプス架橋構造としての意義について紹介する。
 また、LGIファミリーの内、LGI3は近年のヒト遺伝学的研究から、その変異が知的障害と関連することが報告され、高次脳機能における重要性が示唆されている。しかしLGI3の生理的機能については十分に理解されていない。我々はLGIファミリーとADAM22の結合特性を検討する過程で、LGI3がADAM22とは結合せず、別の受容体分子と結合して機能する可能性を見出した。したがって、LGI3の受容体分子や生理機能を理解することが、知的障害や関連する脳神経疾患の発症機序の解明に繋がると期待される。本セミナーでは、現在進行中であるLGI3に関する研究ついても併せて紹介する。