本セミナーでは，複数の非侵襲脳計測モダリティの情報を統合してヒトの機能的脳ネットワークを推定する手法を開発した研究について，ならびに，ネットワーク分析の方法論を用いてfMRIの機能的脳ネットワークの時間変化を特徴づけた研究について紹介する．推定手法の開発では，状態空間モデリングと変分ベイズ法を応用することにより，脳磁図（MEG），fMRI，拡散MRIデータから分布電流源の活動強度と有向機能的結合を全脳領野にわたって推定することを可能にした．時間変化の特徴づけでは，fMRIデータから得られる安静時機能的脳ネットワークのモジュール構造の状態変化に着目し，状態間で機能的結合の大域的パターンがどのように変化するのかを明らかにするとともに，これらの状態変化が巨視的な脳活動のシミュレーションによってどれほど再現可能であるのかについても検証した．また発表の最後では，今後の研究の展望・方向性などについても紹介する．

＊本セミナーは日本語で行われます。