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研究活動

セミナー詳細

2019年01月23日

神経振動の操作的研究 ―認知機能との因果関係の理解へ向けて

日 時 2019年01月23日(水) 16:00 より 17:00 まで
講演者 岡崎 由香先生
講演者所属 理化学研究所・脳神経科学研究センター・CBS-トヨタ連携センター 脳リズム情報処理連携ユニット・研究員
場 所 生理学研究所(明大寺地区)1F:大会議室
お問い合わせ先 北城 圭一(神経ダイナミクス研究部門 kkitajo@nips.ac.jp)
要旨

 認知機能と周波数特異的な神経振動との関連性が多数報告されているが、両者の因果的関係を解明する有力な手段として「神経振動の操作」が期待されている。今回の発表ではMEGおよびTMS-EEGを用いた神経振動の操作的研究を紹介し、今後の展望について議論する。
 まずα波と注意機能との因果関係解明のため、MEGニューロフィードバック手法によって注意課題時に発生するα波パワーの半球間バランスを変調するように被検者を訓練し、その前後での視知覚閾値の変化を計測した。その結果、訓練後にα波パワーが強くなった半球に対応する視野の知覚閾値が上昇した。次に自発神経振動を外部刺激により特定の周期に引き込むことを試みた。反復TMSによって運動野と視覚野それぞれにθ、α、βリズムで刺激を行ったところ、領野ごとに異なる周波数引き込みが生じた。
 これらの研究結果は神経振動が人為的に操作可能であり、その結果、認知活動が変化する事を示している。加えて、脳領野ごとの自然周波数や引き込み現象の存在は、脳活動を自然界に遍在する同期現象の一つとしてとらえ、非線形動力学の枠組みでその機構を理解することが可能であることを示唆している。

*本セミナーは日本語で行われます。