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セミナー詳細

2019年02月01日

選択的回路遮断法による神経回路再編とリハビリテーション効果の検証

日 時 2019年02月01日(金) 16:30 より 17:30 まで
講演者 石田 章真 先生
講演者所属 名古屋市立大学大学院 脳神経生理学分野
場 所 生理研1階 セミナー室(明大寺地区)
お問い合わせ先 窪田芳之 Yoshiyuki Kubota, 大脳神経回路論研究部門 yoshiy@nips.ac.jp
要旨

脳損傷により障害される機能の再獲得には、中枢神経系の構造的・機能的再編が重要な要因となる。リハビリテーションは神経系の再編を促進すると考えられ、『リハ-神経再編-機能回復』というドグマにおいて因果性および機序を明らかにすることは重要な課題であると考えられる。しかし、神経系の可塑的変化と運動機能の変化との間の因果性を直接的に証明した研究は未だ少数である。 我々は内包出血モデルラットを用い、リハビリテーションとして麻痺肢を集中的に使用させ、中枢神経系に生じる可塑的変化を確認した。その結果、麻痺肢の集中使用により運動野の前肢マップの拡大および皮質赤核路の分枝が増加することを見出した。更にウイルスベクターを用いて経路選択的な機能遮断を行うことで、皮質赤核路がリハによる運動機能(リーチ動作)の回復に対し因果関係を有する事を証明した("Ishida et al., J Neurosci., 2016” )。
最近の検討では、皮質赤核路を遮断するタイミングを変化させ、皮質脊髄路損傷後の代償における役割の経時的な変化を確認した。興味深い結果として、皮質赤核路が遮断された状態でリハを行うと、同経路に代わり皮質網様体路が増強されることが確認された。更に、これらの皮質脳幹路の機能を並列的に遮断することで、各経路の役割や相互作用などが明らかになってきた。上記の結果より、皮質脊髄路損傷後のリハビリテーションにおける神経回路のダイナミックな変化と機能代償における役割について報告する。
このセミナーは、日本語で講演をお願いしています。