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セミナー詳細

2019年10月03日

ショウジョウバエ腸管の恒常性における上皮バリアの役割

日 時 2019年10月03日(木) 12:00 より 13:00 まで
講演者 泉 裕士 准教授
講演者所属 細胞構造研究部門
場 所 山手3号館2階共通セミナー室
お問い合わせ先 泉 裕士(生理研・細胞構造研究部門 内線:5279)
要旨

動物の腸管上皮は、消化酵素や微生物を含む腸管腔の過酷な環境から身体の内部環境を保護するバリアとしての機能を担っている。しかし、その機能の低下がもたらす腸管の恒常性への影響については依然として不明な点が多い。これまで私は、ショウジョウバエ腸管上皮の細胞間隙バリアとして機能する細胞間接着装置セプテートジャンクション(SJ、タイトジャンクションの機能に相当)の分子構築と機能の解析を進めてきた。その過程で、SJ構成分子の欠失が腸管上皮のバリア機能を破綻させるとともに、幹細胞の過剰増殖と上皮細胞の過剰蓄積を伴う腸管の肥大化を招くことを見出した。また、この腸肥大には、IL-6様サイトカインが関与していることを明らかにした。このようにショウジョウバエ腸管において、上皮バリアは体内への異物の侵入あるいは体外への生体成分の流出を防ぐだけでなく、幹細胞の増殖と上皮細胞への分化の制御を介して腸管の恒常性維持にも寄与することが示唆された。