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セミナー詳細

2020年01月10日

シナプス可塑性のシグナル伝達からEMコネクトミクスへ:拡大するコンピュテーションの役割

日 時 2020年01月10日(金) 13:00 より 14:00 まで
講演者 浦久保秀俊 博士
講演者所属 京都大学大学院 情報学研究科 システム科学専攻
場 所 明大寺生理研棟 1階セミナー室
お問い合わせ先 窪田芳之
基盤神経科学研究領域 大脳神経回路論研究部門
yoshiy@nips.ac.jp
要旨

脳の記憶の神経基盤であるシナプス可塑性のシグナル伝達(メカニズム)を明らかにしようとする研究は盛んに行われている。しかし、中々わかったような気になれない。実験では要素還元的に分子を対象にせざるを得ず、システム的理解を得ることができないためである。ここで登場するのが、計算モデルを用いて分子と可塑性ルールの間を繋ごうとするアプローチである。本セミナーでは、線条体のドーパミン依存シナプス可塑性を対象に、計算モデルの成功例を紹介したい。
 可塑性の計算モデルでは分子の時間ダイナミクスに着目した。ただし、現実のシグナル伝達分子は空間局在し、時空間ダイナミクスとして機能する。空間ダイナミクスの器である神経の形状データは電子顕微鏡(EM)3次元画像に埋め込まれている。しかし、画像から形状データを抽出するセグメンテーションと呼ばれる情報処理の工程には困難が伴う。本セミナーでは、セグメンテーションを容易に行うためのソフトウェアUNI-EMを紹介すると共に、シグナル伝達の時空間ダイナミクスを明らかにするためのシミュレーション例を紹介したい。さらに、EMコネクトミクスにおける情報論的研究の役割について議論したい。