日 時 | 2020年04月02日(木) 11:00 より 12:00 まで |
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講演者 | 竹村 浩昌 |
講演者所属 | テニュアトラック研究員(情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター(CiNet) 脳機能解析研究室) |
場 所 | 1階会議室 |
お問い合わせ先 | 定藤 規弘(心理生理学研究部門) |
要旨 |
ヒトの大脳皮質は神経細胞の細胞体を多く含む灰白質と、遠く離れた脳領域どうしの連絡を担う白質から構成される。古典的解剖学研究では、白質における線維束と脳機能の関連が類推されてきた。近年、拡散強調MRI(dMRI)法の発展により、ヒトの生体脳における主要な白質線維束を計測することが可能となってきた。本講演ではdMRIを用いた脳データ解析法の概要を紹介したのち、白質線維束の分析によって明らかになってきた成果について紹介する。第一に、死後脳研究で既に存在が知られているヒトの白質線維束をdMRIデータから求め、網膜疾患の影響・脳活動との関連・発達などを評価した研究結果について紹介する。第二にdMRIを用いて、従来の視覚神経科学研究であまり着目されてこなかった背側視覚野と腹側視覚野を結ぶ白質線維束を分析した成果を紹介する。特に、非ヒト霊長類から得られたdMRIデータの分析を通じて解剖学的研究とヒト脳イメージング研究のギャップを埋めるアプローチについて議論する。最後にdMRIとは原理の異なる計測手法である、偏光顕微鏡を用いたデータを分析し白質線維束の空間構造を調べた成果を紹介し、線維束の詳細な理解が視覚皮質の機能構築の理解に果たす役割について議論する。 |