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2021年01月15日

「細胞外マトリックスの組み立てツール」のはたらき 〜 架橋酵素リシルオキシダーゼの活性化に必須の分泌タンパク質Fibulin-4の役割 〜

日 時 2021年01月15日(金) 16:00
講演者 中邨智之博士
講演者所属 関西医科大学 薬理学講座・教授
場 所 Online (Zoom)
お問い合わせ先 古瀬幹夫
生理学研究所細胞構造研究部門
furuse@nips.ac.jp
TEL: 0564-59-5277
要旨

細胞外マトリックスの中でも組織の強度を規定する膠原線維はコラーゲンタンパク質でできているが、引っ張りに耐えられるよう分子どうしが共有結合で架橋されている。また組織の伸縮性を担う弾性線維はエラスチンタンパク質でできているが、伸縮性を生み出すためにやはり分子間が架橋されている。いずれも「構成タンパク質を正しく並べて、架橋する」という手順を踏むことで、細胞よりはるかに大きな構築物を作り、なおかつその特異な力学的特性を発揮させることができるという共通点がある。コラーゲンとエラスチンにはアミノ酸配列の共通性はないが、いずれの架橋もリシルオキシダーゼ(LOX)という酵素が行うことが知られている。
我々はこれまでにエラスチンを正しく並べるためにFibulin-5とLTBP-4という分泌タンパク質が必須であることを報告してきたが、Fibulin-5のファミリータンパク質であるFibulin-4のはたらきは謎であった。Fibulin-4欠損マウスは弾性線維形成不全だけでなく膠原線維の異常も示し、動脈の破裂のため生後すぐに死亡するが、この表現型はLOX欠損マウスと全く同じなのである。
今回、Fibulin-4欠損マウス・細胞が作るLOXには活性がないことを見出し、Fibulin-4がLOX活性に必要とされる仕組みを明らかにしたので紹介したい。