日 時 | 2021年12月15日(水) 12:00 より 13:00 まで |
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講演者 | 村越秀治先生 |
講演者所属 | 脳機能計測・支援センター |
場 所 | Online (Zoom) |
お問い合わせ先 |
生理学研究所 細胞生理研究部門 曽我部隆彰 sokabe@nips.ac.jp |
要旨 |
近年、光受容タンパク質を利用してタンパク質活性を光操作することにより細胞活動を操作することが可能になった(光遺伝学)。しかしながら、現在までに様々な光操作ツールが開発され神経科学の分野で広く使用されているものの、まだまだ発展の余地がある。例えば、神経細胞上では個々のシナプスは独立して動作するため、単一シナプスレベルの光操作を可能にすることは神経細胞の動作機構や記憶の研究にとって極めて重要な課題であった。しかしながらこれまで、神経細胞レベル(数十µm)で光操作が可能なオプトジェネティクスツールの開発は進んでいたものの、シナプスのような微小領域(1 µm以下)を操作するためのツール開発は、多くのトライ&エラーや経験が必要で難易度が高いため進んでいなかった。最近私達は、植物の光受容タンパク質であるPhototropin 1の光受容部位をCa2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)と遺伝子工学的に融合することで、470 nm付近の青色光あるいは近赤外(700–950 nm)の2光子励起によって活性化する光応答性CaMKII(photoactivatable CaMKII: paCaMKII)の開発に成功した。 昼食セミナーでは、paCaMKIIの紹介(Shibata et al. Nature Communications 2021)と共にpaCaMKIIのシナプス可塑性研究への応用(Ueda et al. Cell Reports, accepted)についても紹介したい。 |