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セミナー詳細

2022年02月14日

HCPパイプラインによるfMRIデータの前処理:既存の前処理との違いに焦点を絞って

日 時 2022年02月14日(月) 13:30 より 15:00 まで
講演者 山本哲也 特任助教
講演者所属 生理学研究所 システム脳科学研究領域 心理生理学研究部門
場 所 Online (Zoom)
お問い合わせ先 福永 雅喜(心理生理学研究部門)
fuku@nips.ac.jp
要旨
HCPパイプラインは、Washington University in St. Louisを中心としたHuman Connectome Project(HCP)が開発・提供するヒトMRIデータの統合解析プラットフォームである。この中で大きな比重を占めるfMRIデータの前処理パイプラインは、近年のマルチバンド撮像技術の展開による高解像化や撮像高速化の結果、代償として生じる画像歪みや時系列データのSN比低下等、多くの問題への対処の必要性から複雑化する前処理を容易かつ包括的に適用できる。研究の本質ではない前処理について十分な知識を有さない研究者が、正しく前処理を行うために多大な労力を割かずに済む点でも非常に有益である。一方、決められた撮像プロトコルで取得したデータをパイプラインに流し込みさえすれば、高度な前処理を遂行できてしまうため、高度な前処理工程がブラックボックス化し、基本的な理解すらままならなくなる問題も孕んでいる。そこで、本セミナーでは、fMRIデータ解析に広く用いられているFreeSurferやSPMとの違いを中心に、HCPの構造画像処理とfMRIデータ前処理の2つのパイプラインについて、その特色を解説する。

参考文献
Glasser MF, Sotiropoulos SN, Wilson JA et al. The minimal
preprocessing pipelines for the Human Connectome Project. Neuroimage.
2013 Oct 15;80:105-24. doi: 10.1016/j.neuroimage.2013.04.127.
Glasser MF, Coalson TS, Robinson EC et al. A multi-modal parcellation
of human cerebral cortex. Nature. 2016 Aug 11;536(7615):171-178. doi:
10.1038/nature18933.
※2つ目の論文については、本セミナーで関係するのはSupplementary
Methodsの部分のみ(https://static-content.springer.com/esm/art%3A10.1038%2Fnature18933/MediaObjects/41586_2016_BFnature18933_MOESM328_ESM.pdf)