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セミナー詳細

2022年08月09日

光顕と電顕アプローチを統合したショウジョウバエ全脳コネクトーム解析

日 時 2022年08月09日(火) 16:00 より 17:00 まで
講演者 伊藤啓 先生
講演者所属 ケルン大学 理学部 動物学教室
場 所 山手3号館2階西共通セミナー室(オンサイトのみ)
お問い合わせ先 窪田芳之(世話人)
要旨
ショウジョウバエの脳は、脳全体で約10万、低次視覚中枢を除いた脳本体が片半球2万未満の神経細胞からなり、脳を構成するすべての神経細胞とそのネットワークの解析が現実的に可能なレベルにある。標識タンパク遺伝子をさまざまな細胞で発現させて光学顕微鏡で解析する手法では、光波長の限界で分解能が制約される反面、神経伝達物質の種類ごとに単一神経を標識したり、長大な軸索や細かな神経分枝を漏れなく標識したりすることが可能だ。一方、電顕連続切片画像から個々の神経をセグメンテーションする手法では、1個体の標本しか解析できず、神経線維の完全なトレースが困難な反面、入力出力の個々のシナプスを高解像度で同定して詳細な神経連絡をマップできる。ハワード・ヒューズ財団ジャネリア研究所が作成した全脳電顕データを解析した4000種類超の新規神経細胞タイプの分類同定、光顕標識による全モノアミン神経の同定と電顕データからの相同細胞のマッチング同定と結合解析、脊索と脳を結ぶ体性感覚上行神経の同定分類解析など、我々が最近行っている研究を紹介する。