日 時 | 2022年08月25日(木) 10:00 より 11:00 まで |
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講演者 | 兼子 峰明 特定助教 |
講演者所属 | 京都大学ヒト行動進化研究センター |
場 所 | 1階会議室 およびZOOM(ハイブリッド) |
お問い合わせ先 | 磯田昌岐 (内線7761) |
要旨 |
私たちは他者をどのように理解するだろうか。発達心理や神経科学分野の発展により、他者の行動理解には自己の行為生成や認識が密接に関係していることが明らかになりつつある。本セミナーでは講演者がこれまで行ってきた非ヒト霊長類を対象とした自他認知研究を紹介する。 前半では、行為に伴う自他判断における種間比較研究を紹介する。ある行為やそれに伴う結果について、自己に由来するものかあるいは他者やその他の要因に基づくものか区別することは、ヒトの重要な認知機能の一つである。 一連の研究から、非ヒト霊長類においてもヒトと共通した認知機構を有していることや、一方でヒトを特徴づける要素も明らかとなってきた。後半では、深層学習を用いた画像解析による霊長類集団行動の大規模定量化の技術を紹介する。我々の開発したシステムにより、マカクザル集団における社会関係の描出や、マーモセットが他者の内的な状態に応じて自己の対応を調整する行動の定量化に成功している。霊長類の自然な社会行動のハイスループット定量化が現実のものとなりつつある。今後、これらの知見や技術革新をもとに、自他理解の神経機構に関する細胞レベルの挙動解明や回路操作による因果的理解が発展するものと期待される。 |