日 時 |
2023年01月13日(金)
10:30
より 11:20 まで
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講演者 |
中村 晋也先生
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講演者所属 |
東北大学・大学院生命科学研究科・脳神経システム分野
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場 所 |
Zoomオンライン
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お問い合わせ先 |
北城 圭一(kkitajo@nips.ac.jp)
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要旨 |
非侵襲的な脳刺激法である経頭蓋磁気刺激(TMS)、とくにその反復刺激(rTMS)は、刺激された脳領域の機能の促進や抑制が可能なことから、臨床治療や認知科学実験の有用なツールとして広く用いられている。私はこれまでに、本手法をサルに適用し、rTMSの作用機序を探る基礎実験や、認知神経科学的実験を行ってきたので、それらの成果を紹介したい。まず、rTMSの作用機序を探るために、サル一次運動野(M1)への異なる刺激頻度のrTMSが、硬膜下皮質表面電位(ECoG)やM1への単発TMSによる誘発筋電図(MEP)に与える影響の違いを調べる実験を行った。その結果、高頻度rTMSによって、MEPの振幅の増大に伴うECoGのγ帯域パワーの増加が、低頻度rTMSによって、MEPの振幅の減弱に伴うβ帯域パワーの低下が認められたことから、rTMSによる脳機能の促進と抑制作用には異なる神経メカニズムが関与していることが示唆された。また、TMS/rTMSを用いて、サル大脳皮質の認知・情動機能に関する行動実験を行った。遅延反応課題を用いてサルの作業記憶能を調べた実験では、前頭前野背外側部と運動前野が、それぞれ視空間と視覚運動性の作業記憶に関与していることを示す結果が得られている。また、内側前頭皮質の気分・情動調節機能を調べた実験では、その腹側部への低頻度rTMSにより、サルが抑うつ状態に陥ることを示した。
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