日 時 | 2024年02月15日(木) 12:00 より 13:00 まで |
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講演者 | 曽我部隆彰 |
講演者所属 | 生理研 細胞生理研究部門/ExCELLS 温度生物学研究グループ・准教授 |
場 所 | Zoomオンライン |
要旨 |
感覚機能は生物が生きていく上でのあらゆる側面に欠かすことのできない役割を果たしています。感覚受容の「最前線」では適切な受容体が必要な環境刺激を受け取り伝えていくことが重要であり、受容体遺伝子セットが出揃った現在においても応答メカニズムについて解明すべき点が多く残されています。 私は昆虫モデルを用いてセンサー分子とシグナル伝達経路の研究を進めており、ノーベル賞の受賞対象となったTRPチャネルを中心に多くの膜受容体と生体分子が環境刺激の受容と応答に関わることを明らかにしてきました。例えばこれまで光受容体としての機能だけが知られていたロドプシンの温度受容を含む多刺激応答性や、多彩な脂質制御遺伝子とその産物による受容体機能の修飾などです。最近では老化や神経変性疾患に関わりの深い酸化ストレスと感覚機能障害の連関や、害虫の防除に繋がる新しい忌避・殺虫ストラテジーの確立など、応用的な研究にも手を広げています。 本セミナーでは、昆虫やその他の生物種で見つかった感覚受容の新しいメカニズムとその展開について最近の成果を紹介したいと思います。 |