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セミナー詳細

2024年12月27日

GPCR の多様な機能~嗅覚受容体の新しいシグナル機構

日 時 2024年12月27日(金) 10:45 より 11:45 まで
講演者 中嶋 藍
講演者所属 東京大学薬学系研究科・准教授
場 所 Zoom オンライン(Zoom IDとPasscodeは、所内メールにてご連絡いたします)
お問い合わせ先 久保 義弘(神経機能素子研究部門)
要旨  G タンパク質共役型受容体(GPCR)は外界および内因性の刺激を受容するセンサーであり、従来の研究はリガンドによる活性化とそれによって引き起こされる生命現象を理解することを目的として研究が進められてきた。近年、GPCR にはリガンド非依存的なシグナルを持つことが明らかにされているが、その役割は不明であった。 我々は、GPCR の中でも最大の遺伝子族である嗅覚受容体に着目し研究を進めている。嗅覚受容体は匂い分子の検出だけでなく、発生過程において嗅細胞の運命決定や軸索投射の制御にも関与する。我々は一連の研究から嗅覚受容体が生み出す基礎活性や自発的な活動が細胞内での遺伝子発現を制御し、軸索末端に固有の分子コードを介して特異的な神経配線を決定することを明らかにしてきた。本セミナーでは、嗅覚系の研究から見えてきた GPCR の新規シグナル機構とその普遍性について議論する。

参考文献:
Nakashima A, Takeuchi H, Imai T, Saito H, Kiyonari H, Abe T, Chen M, Weinstein LS, Yu CR, Storm DR, Nishizumi H, Sakano H (2013) Agonist-independent GPCR activity regulates Anterior-Posterior targeting of olfactory sensory neurons. Cell 154: 1314-1325.

Nakashima A, Ihara N, Shigeta M, Kiyonari H, Ikegaya Y, Takeuchi H (2019) Structured spike series specify gene expression patterns for olfactory circuit formation. Science 365(6448) eaaw5030. doi: 10.1126/science.aaw5030.