日 時 | 2025年01月06日(月) 13:00 より 14:00 まで |
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講演者 | 下田 翔 博士 |
講演者所属 | Harvard Medical School |
場 所 | 山手3号館-2F-共通セミナー室 |
お問い合わせ先 | 西村 明幸 (aki@nips.ac.jp) |
要旨 |
Leigh脳症は小児に見られる遺伝性のミトコンドリア病である。最近、Leigh脳症の原因遺伝子の一つとして、硫化水素(H2S)酸化酵素sulfide-quinone oxidoreductase (Sqor) が同定された。我々は、Sqor変異マウスでもLeigh脳症患者と同様の脳病変を認めることを明らかにした。Sqor変異マウスでは、SqorのH2S酸化活性が大きく減弱しており、血中、肝臓、脳、骨格筋でのH2S蓄積とミトコンドリア複合体IV活性の抑制が認められた。そこで、内因性のH2S発生を抑制するような処置(メトロニダゾールおよびsulfur-restrict diet)を行うと、Sqor変異マウスの生存期間が有意に延長された。これらの結果からSqorは全身のH2S量の制御に重要であり、H2Sの蓄積抑制はSqor変異によって誘導されるLeigh脳症の新たな治療戦略となりうることが示された。 (参考文献) Kanemaru E, Shimoda K, Marutani E, Morita M, Miranda M, Miyazaki Y, Sinow C, Sharma R, Dong F, Bloch DB, Akaike T, Ichinose F. Exclusion of sulfide:quinone oxidoreductase from mitochondria causes Leigh-like disease in mice by impairing sulfide metabolism. J Clin Invest. 2024 Jun 13;134(15):e170994. doi: 10.1172/JCI170994. |