日 時 | 2025年01月06日(月) 15:00 より 16:00 まで |
---|---|
講演者 | 中村 秀樹 |
講演者所属 | 京都大学 白眉センター/大学院工学研究科・特定准教授 |
場 所 | Zoom オンライン(Zoom IDとPasscodeは、所内メールにてご連絡いたします) |
お問い合わせ先 | 久保 義弘(神経機能素子研究部門) |
要旨 |
生命の最小単位である細胞は、内部に無数の構造体を内包しています。個々の構造体はタンパク質や核酸・脂質など多様な生体分子からなり、μmスケールの大きさを有します。これらの構造体がそれぞれに重要な生理学的機能を発揮し、互いに有機的かつダイナミックに関連し合うことで生命が維持されます。その様子は、あたかもわれわれ人間の社会がさまざまな組織やインフラストラクチャーの活動で維持されている様を思わせます。 私は最近の研究を通じて、生きた細胞内の細胞内小器官や非膜型オルガネラなど、これら細胞内構造体のダイナミクスを、小分子化合物や光など外部からの刺激を通じて自在に操作する技術の開発に取り組んできました。本セミナーではこれらのうち特に、非膜型オルガネラの典型例であるストレス顆粒の集合・離散や、ミトコンドリアの形態を人為的に操作する技術を中心に、これらの技術と今後の展望についてお話しします。また、現在開発に取り組んでいるあらたな操作・解析技術や、脳・神経系など機能・形態学的に特殊な組織への応用について将来的なビジョンを共有し、細胞というちいさな“社会”を自在に「工事する」技術開発の今後について議論を深めたいと思います。 参考文献: Nakamura H, Rho E, Lee CT, Itoh K, Deng D, Watanabe S, Razavi S, Matsubayashi HT, Zhu C, Jung E, Rangamani P, Watanabe S, Inoue T (2023) ActuAtor, a Listeria-inspired molecular tool for physical manipulation of intracellular organizations through de novo actin polymerization. Cell Rep 42(10):113089. Nakamura H, Lee AA, Afshar AS, Watanabe S, Rho E, Razavi S, Suarez A, Lin Y-C, Tanigawa M, Huang B, DeRose R, Bobb D, Hong W, Gabelli SB, Goutsias J, Inoue T (2018) Intracellular production of hydrogels and synthetic RNA granules by multivalent molecular interactions. Nature Materials 17(10):79-89. |