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研究活動

セミナー詳細

2025年06月16日

記憶のマルチスケールな動作原理の解明と光操作への展望

日 時 2025年06月16日(月) 17:00 より 17:45 まで
講演者 湊原 圭一郎
講演者所属 第一三共株式会社 品川研究開発センター 薬物動態研究所
場 所 Zoom オンライン
お問い合わせ先 和氣弘明(研究連携センター)wake.hiroaki.r9@f.mail.nagoya-u.ac.jp
要旨     記憶がシナプスや神経回路といった異なる階層をまたいで、どのように連携し形成・保持されるのだろうか。その動作原理の解明を目指し、我々はマルチスケールな視点から研究を進めてきた。まずミクロなレベルでは、記憶痕跡回路における2光子スパインイメージングにより、記憶の形成に伴い記憶回路特異的にスパイン新生が起こりシナプスクラスタリングを誘導することを示唆した。次にマクロなレベルでは、2光子メゾスコープを用いた広範囲カルシウムイメージングにより、記憶の形成に伴う神経ネットワーク変化を捉えた。さらにこの記憶のハブとなりうる脳領域を特定しており、ミクロなシナプス変化と高次の記憶機能とを直接結びつけるための、具体的な観察・操作ターゲットを見出しつつある。これら一連の観察研究は記憶という脳機能と、回路変化・シナプス動態を結びつける重要な知見をもたらしたが、一方で、観測されたこれらの変化が記憶形成において担う機能的役割の検証は、動作原理の完全な理解に向けた次なる重要課題である。本発表では、我々が進めてきた観察研究の成果を中心に概説し、最後に光技術による局所的なシナプス操作がネットワーク機能にどのような影響を及ぼすのか、シナプス動態の役割を検証する将来展望を簡潔に述べたい。(記載内容は学術機関での研究成果であり、発表者の現在の所属企業とは一切関係ありません。)