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内向き整流性K+ チャネル Kir2.1 の細胞内側ポアに存在する 電荷を帯びたアミノ酸残基の機能的役割

2006年6月 1日 研究報告

概要

内向き整流性K+チャネルKir2.1 のイオン透過路(ポア)は、細胞内領域に大きく張り出していること、そしてその細胞内領域ポアの内側表面に負電荷や正電荷を持ったアミノ酸が存在することが、これまでの結晶構造生物学的解析により明らかにされている(図1)。しかしながら、内向き整流性の成立に寄与していることが報告されたE224, E299 以外のアミノ酸残基については、イオンの透過やブロックについてどのような機能的意義を果たしているのか、知られていなかった。
そこで、我々は、細胞内領域ポアの内側表面に存在する電荷を有するアミノ酸残基の機能的意義を探ることを目的として、これらのアミノ酸残基の1重、2重の変異体を系統的に作成し、内向き整流性、スペルミンやMg2+等の細胞内ブロッカーに対する感受性、ブロッカー非存在下での内因的整流性、単一チャネルコンダクタンスとチャネルノイズ等に着目して、変異体の機能変化を網羅的に解析した。その結果、貢献度の強弱はあるものの、細胞内領域ポアの電荷を帯びたアミノ酸残基群が、全体として負電荷を帯びた環境を構成していること、そして、この負電荷をおびた環境が、K+イオンとスペルミン等の細胞内ブロッカーの両方の、この部位における局所濃度を高めることに寄与していることを明らかにした。この効果が、K+ イオンのブロッカー非存在下での外向き電流を促進すると共に、この外向き流の細胞内ブロッカーによるブロックに対する感受性を高め、結果として内向き整流性K+チャネルに特有な、メリハリの効いた膜電位依存的な外向き電流のブロックを可能にしていると推察された(図2)。

論文情報

Fujiwara Y, Kubo Y. Functional roles of charged amino acid residues on the wall of the cytoplasmic pore of Kir2.1. J Gen Physiol. 2006 Apr;127(4):401-19.

【図1】 

20060601_1.gif

図1: 結晶構造解析により報告された、Kir2.1の構造
上図は、膜貫通部位と細胞内領域の両方を含む全体の構造を示す。細胞内領域ポアに、負電荷を持ったアミノ酸(赤)と、正電荷を持ったアミノ酸(青)が多数存在することがわかる。下図は、細胞内領域ポアを拡大したもので、左は上から見た図、右は横から見た図である。

【図2】 

20060601_2.gif

図2: Kir 2.1 の細胞内領域ポアの機能的役割
細胞内領域ポアは、全体として負電荷を帯びることにより、K+ イオンと細胞内ブロッカーの両方の濃度を高めている(上図左)。そのため、ブロッカー非存在下では、外向き電流が促進され、ブロッカー存在下では、メリハリの効いた膜電位依存的ブロックが観察される(下図左)。変異により、負電荷を減弱させると、この特徴が失われる(図右)。

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