HOME >  研究活動 >  セミナー情報 >  細胞間隙を介する物質輸送を制御する分子機構

研究活動

Research

セミナー詳細

2013年09月26日 所長招聘セミナー

細胞間隙を介する物質輸送を制御する分子機構

日 時 2013年09月26日(木) 15:30 より 16:30 まで
講演者 古瀬 幹夫 先生
講演者所属 神戸大学大学院医学研究科 生理学・細胞生物学講 細胞生物学分野
お問い合わせ先 川口泰雄(大脳神経回路論研究部門 内線5281)
要旨

上皮は、体を様々な区画に仕切りつつ選択的な物質輸送を行うことにより、内部環境の恒常性維持に寄与する。上皮による物質輸送は、細胞膜を介する経細胞輸送と、細胞間隙を介する受動輸送である傍細胞輸送から成る。経細胞輸送に比べて傍細胞輸送を制御するメカニズムの理解は遅れていたが、近年、その律速となる細胞間接着装置タイトジャンクション(TJ)の分子構築が解明されたことにより、TJの核心部分を構成する接着分子クローディンファミリー各タイプの個性と発現の組み合わせが傍細胞輸送の特性を規定するという基本概念が確立された。このような状況をふまえ、私たちの研究グループは、傍細胞輸送を制御する分子基盤のさらなる理解を目指して新しい研究を進めている。まず、細胞シート内に多数存在しながらこれまで無視されてきたトリセルラーコンタクト、すなわち3つの上皮細胞の角が接する領域に着目し、この位置に形成される特殊な接着構造であるトリセルラーTJ(tTJ)の構成分子を同定して、tTJの形成機構と上皮バリア機能における役割を明らかにしつつある。さらに、傍細胞輸送が上皮細胞シート周囲の液性環境の変化にダイナミックに応答することを見出し、そのメカニズムをTJ、細胞骨格、細胞内シグナル伝達の観点から解明しようとしている。このような研究から得られる成果を従来のTJ研究の知見と統合することにより、傍細胞輸送の分子メカニズムの全貌、さらには経細胞輸送と傍細胞輸送の共役による全上皮輸送の包括的な理解に近づくことができると考えている。