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一度創って5度おいしいマウス、FAST!

2010年3月 1日 研究報告

概要

遺伝子が病気の成り立ちや治療にどのように関係するか、ある生命現象が遺伝子要因と環境要因のどちらが原因で起こるのかといった問題に対してアプローチしたいと考えています。そのためには遺伝子を改変しなければ、直接的な因果関係には迫れません。2007年のノーベル医学生理学賞の対象になった遺伝子改変マウス技術はこれまでに30年ほどの歴史を持ちます。この技術開発によって先程述べた問題が解けるようになってきました。しかし一つの遺伝子改変マウスを得るには30年経った今でも多大な労力を要します。本研究では「苦労してマウスを作るのなら、なるべく色々な遺伝子操作が出来た方が色々な疑問に答えることが出来る」というコンセプトのもとに新しい遺伝子改変、遺伝子操作方法を開発しました。一度苦労して遺伝子をターゲッティングすると、2つの異なるマウス、STOP-tetOノックインマウスとtetOノックインマウスを得ることが出来、それらのマウスから5種類の遺伝子操作方法;1) 単純ノックアウト、2) Creを用いた遺伝子ノックアウトのレスキュー、3) tTAを用いた遺伝子の異所性発現、4) tTAを用いた遺伝子の時期特異的な過剰発現、5) tTSを用いた可逆的な遺伝子ノックアウトが可能になります。私たちはこのシステムをFASTと名付けました。FASTを4つの遺伝子について検討し、その一般性について確認しました。

論文情報

Kenji F Tanaka, Susanne E Ahmari, E D Leonardo, Jesse W Richardson-Jones, Elaine C Budreck, Peter Scheiffele, Shouta Sugio, Naoko Inamura, Kazuhiro Ikenaka, Rene Hen Biological Psychiatry Volume 67, Issue 8, (15 April 2010) Epub Online Feb 15.

【図1】一度創ると五度おいしい

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一回のES細胞への遺伝子導入によって(一度創ると)、2つのノックインマウス(STOP-tetOとtetOマウス)を得ることが出来、それらから5種類の遺伝子操作が可能になる(五度おいしい)。

【図2】5度おいしい

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Mlc1遺伝子を例にその応用を示します。Mlc1遺伝子はグリア細胞に発現する遺伝子です。青紫色がMlc1遺伝子の発現量を表し、ピンク色は背景染色です。アプリケーション1(STOP-tetO)では青色のシグナルが無いので、遺伝子ノックアウトです。アプリケーション2 (Cre-rescue)では青色のシグナルが復活します。アプリケーション3 (tTA-ectopic expression)ではグリア細胞のシグナルが消失する一方で、神経細胞(矢印)に異所性の発現が見られます。アプリケーション4 (tTA-overexpression)ではドキシサイクリン(DOX)の有無で過剰発現(下段)と野生型と同等の発現(上段)をコントロール出来ます。アプリケーション5 (tTS-knockout/down)ではDOXの有無でノックアウト(下段)と野生型と同等の発現(上段)をコントロール出来ます。

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