日 時 | 2016年03月07日(月) 16:00 より 17:00 まで |
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講演者 | 牧之段 学 学内講師 |
講演者所属 | 奈良県立医科大学 精神科 |
場 所 | 生理学研究所(明大寺地区)1階セミナー室 |
お問い合わせ先 | 和氣 弘明(生体恒常機能発達機構) |
要旨 |
自閉スペクトラム症(ASD)発症に遺伝要因が強く関与していることは周知されていますが、最近の報告によりますと環境要因の寄与も少なくないとのことです。幼少期に虐待を受けたこどもらは発達障害様の症状を呈すことがありますので、これらの方々がASDと診断されている可能性は考えられます。マウスの幼若期社会的経験の質は前頭前野のミエリン形成や同部位の機能に影響を与え、またマイクログリアの動態をも変化させます。ミエリン形成やマイクログリアの異常はASD患者脳でも報告されておりますので、臨床症状と同様に、脳内の病態もASD患者と被虐待患者では類似しているのかもしれません。また、自閉スペクトラム症患者は概して幼少期に孤立しやすいため、そもそも幼少期の(主観的な)社会的経験が健常者とは異なると想定され、それによって自閉スペクトラム症症状が一定の修飾を受けている可能性は十分に考えられます。 |