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セミナー詳細

2015年08月27日

主観的価値や味覚の質の脳内表象の探索

日 時 2015年08月27日(木) 11:00 より 12:00 まで
講演者 近添淳一 博士研究員
講演者所属 コーネル大学人間神経科学研究所情動認知研究室
場 所 1階会議室
お問い合わせ先 定藤規弘(#7841)
要旨

 外界の情報は脳内で多元的に表現(表象)されている。例えば、初期視覚野では傾きなどの視覚的特徴、側頭葉など高次視覚野では統合された対象(例:顔や椅子の視覚イメージ)など、脳内表象は脳領域によって異なる様式をとる。近年の解析技術の進歩により、functional MRIなどの非侵襲的手法により得られた脳機能画像から、表象内容の情報を読み取ることが可能になった。本講演では、脳内表象の解析に特化した、多ボクセルパターン解析の一種である「表象類似度解析」を解説する。この手法を用いれば、脳内および行動レベルで観察される表象内容相互の関係から、表象の構造とそれに関連する脳領域を特定することができる。
  今回は、この手法を視覚刺激実験および味覚刺激実験遂行中の脳機能画像データに適用し、得られた知見を紹介する。具体的には、感覚モダリティ依存性または非依存性の価値表象の存在、前頭眼窩皮質における価値表象構造の被験者間での普遍性、甘味や苦味などの味覚の質の表象の島皮質内での統合などについてお話しする。また、今後の方向性として、より一般的な視点からの脳機能画像法の臨床応用の可能性についてもお話ししたい。