Joint Researches

共同利用研究

生体機能イメージング共同利用実験 2022年度

生体機能イメージング共同利用実験(2011年度までの磁気共鳴装置共同利用実験と生体磁気測定装置共同利用実験を統合。)

 生理学研究所の大型生体機能イメージング機器は磁気共鳴装置と脳磁場計測装置があり,2011年度まではそれぞれ独立して共同利用実験申請を受け付けて審査していました。しかし,両方の機器を使用する利用者が多いこと,また審査を共通にする方が効率的であることから,2012年度からは両共同利用実験を統合して生体機能イメージング共同利用実験とすることが決定されました。2021年度は、44件が実施され、2022年度には31件の実施が予定されています。この減少は脳磁計の共同利用停止に伴うものです(後述)。
 磁気共鳴装置については「生体内部の非破壊三次元観察」と「生体活動に伴う形態及びエネルギー状態の連続観察(含む脳賦活検査)」というそれぞれ2つの研究テーマを設定し募集しています。現在稼働している最も古い装置は2000年度に導入されたもので,3テスラという高い静磁場により通常の装置(1.5テスラ)に比較して2倍の感度をもち,特に脳血流計測による脳賦活実験においては圧倒的に有利です。また,特別な仕様を施してサルを用いた脳賦活実験をも遂行できるようにした点が,他施設にない特色です。さらに,実験計画,画像データ収集ならびに画像統計処理にいたる一連の手法を体系的に整備してあり,単に画像撮影装置を共同利用するにとどまらない,質の高い研究を共同で遂行できる環境を整えて,研究者コミュニティのニーズに応えようとして来ました。さらに,2010年度には2台を連動させ,コミュニケーション時の脳活動を計測が可能なdual systemを導入し,社会脳の研究への大きな貢献とともに新たな研究分野の開拓が期待されています。2014年度には,ヒト用の7テスラという極めて高い磁場を持つ磁気共鳴装置が導入され,2015年度稼働開始しました。2017年度は、撮像と画像処理に関する技術的検討・開発のための共同利用実験に供することとなり、2 件を、2018年度は5件を採択しました。2018年度に安定な稼働が確実となったため,広く共同利用実験全般に供しています。
 生理学研究所は1991年度に37チャンネルの大型脳磁場計測装置(脳磁計)が日本で初めて導入されて以後,日本における脳磁図研究のパイオニアとして,質量共に日本を代表する研究施設として世界的な業績をあげてきました。同時に,大学共同利用機関として,脳磁計が導入されていない多くの大学の研究者が生理学研究所の脳磁計を用いて共同利用研究を行ない,多くの成果をあげてきました。2002年度には基礎脳科学研究用に特化した全頭型脳磁計を新たに導入し,臨床検査を主業務として使用されている他大学の脳磁計では行ない得ない高レベルの基礎研究を行なってきましたが、設置後20年を迎えて、2022年3月末日を持って廃止となりました。

 

2022年度採課題一覧

区分 研究課題名 代表者氏名 使用機器
1 DREADD-fMRIによるマカクサル神経ネットワークの可視化 西村 幸男
(東京都医学総合研究所・脳機能再建プロジェクトリーダー)
MRI
2 ブタ脳の発達生理学の研究 高垣 堅太郎
(徳島大学・バイオイノベーション研究所)
MRI
3 遠隔診療における効果的な情報伝達のための神経基盤の解明 下田 真吾
(理化学研究所・脳神経科学研究センタートヨタ連携センター)
MRI
4 共同行為の神経基盤:三名同時脳活動計測によるアプローチ 阿部 匡樹
(北海道大学・教育学研究院)
MRI
5 相互模倣による行為・意図の共有に関与する神経基盤の解明 工藤 和俊
(東京大学・大学院情報学環)
MRI
6 語用論的解釈の神経基盤 ― 認知要素と情動要素の協働機制の探索 中村 太戯留
(武蔵野大学・データサイエンス学部)
MRI
7 ぬれ感覚の脳内形成機序の探索 永島 計
(早稲田大学・人間科学学術院)
MRI
8 運動記憶形成における社会的促進の神経基盤 渡邊 克巳
(早稲田大学・基幹理工学部)
MRI
9 意図的な立毛生成の神経基盤および情動機能との相互作用の解明 片平 建史
(早稲田大学・文学学術院)
MRI
10 ハイパースキャンMRIを用いた相互作用する二者の言葉のやりとりによる共創的学習と共有イメージの神経基盤の解明 田邊 宏樹
(名古屋大学・情報学研究科)
MRI
11 磁気共鳴画像を用いた、日本人英語学習者・外国人日本語学習者の第二言語習得メカニズムの探求 笠井 千勢
(岐阜大学・地域科学部)
MRI
12 統語的・意味的依存関係を構築する際に用いられるキューに関連する神経基盤の解明 祐伯 敦史
(立命館大学・スポーツ健康科学部)
MRI
13 運動イメージの脳内表象の解明 水口 暢章
(立命館大学・総合科学技術研究機構)
MRI
14 認知的負荷の時間割引の行動・神経機構の解明および先延ばし・アパシーの横断的説明 永瀬 麻子
(鳥取大学・医学部)
MRI
15 自律神経系の変動特性の安静時脳ネットワークへの影響評価 成 烈完 
(東北福祉大学・感性福祉研究所)
MRI
16 高磁場MRIによる認知機能に関連する脳機能マーカーの探索 釣木澤 朋和
(産業技術総合研究所・人間情報インタラクション研究部門)
MRI
17 Concept of a minimal RF shield PET insert for 7T whole-body MRI system Akram  Md Shahadat Hossain
(量子科学技術研究開発機構・放射線医学総合研究所)
MRI
18 Development of 8-channel parallel transmission technology in 7 Tesla MRI system and its application to research of functional architectures in human association cortices R Allen Waggoner
(理化学研究所・脳神経科学研究センター)
MRI
EEG
19 視覚認知に関わる眼球運動制御の全脳メカニズムの解明 三浦 健一郎
(国立精神・神経医療研究センター・精神保健研究所 精神疾患病態研究部)
MRI
20 骨格筋代謝物質における7T MRS/CSIの最適化と計測法の確立 日置麻也
(帝京平成大学・健康医療スポーツ学部)
MRI
21 意欲と運動を繋ぐ神経機構の解明 菅原 翔
(東京都医学総合研究所・脳機能再建プロジェクト)
MRI
22 7T MR装置を用いた血管壁イメージングによる脳血管壁性状と3次元シネ位相コントラスト磁気共鳴法による脳血管血流動態の検討 礒田 治夫
(名古屋大学・脳とこころの研究センター)
MRI
23 Personalizing Brain Stimulation Dosage by New Neurostimulation Computational Model Jose Gomez-Tames
(名古屋工業大学・大学院工学研究科)
MRI
24 7T-MRI対応non-pTx頭部RFコイルシステムの開発 浦山 慎一
(京都大学・大学院医学研究科脳機能総合研究センター)
MRI
25 計算負荷による唾液アミラーゼ変動と脳機能結合および内側前頭前野の神経アミノ酸分布の関係 梅田 雅宏
(明治国際医療大学・医学教育研究センター)
MRI
26 呼吸活動と課題遂行に伴う青斑核活動の解明 中村 望
(兵庫医科大学・大学院医学研究科)
MRI
27 7TレイヤーfMRIによるヒト大脳皮質層別の情報処理機構の解明 楊 家家
(岡山大学・学術研究院ヘルスシステム統合科学学域)
MRI
28 意味の創発に関わる内的表象形成メカニズムの解明 寺井 あすか
(公立はこだて未来大学・システム情報科学部)
MRI
29 将来の報酬を期待するヒト脳の価値表象の動的特徴と選択形成の解析 地村 弘二
(慶應義塾大学・理工学部生命情報学科)
MRI
30 機械学習とfMRIを用いた抒情の生じるメカニズムの解明 持橋 大地
(統計数理研究所・数理・推論研究系)
MRI
31 美学的体験や創造的体験とその心理的効果に関する認知神経科学的研究 石津 智大
(関西大学・文学部心理学専修)
MRI
32 超高磁場機能的磁気共鳴画像法を用いたヒト脳活動の高分解能計測および解析法の研究 宮脇 陽一
(電気通信大学・大学院情報理工学研究科)
 
MRI
33 情動的影響の計量経済学的構造モデル推定 渡辺 安虎
(東京大学・大学院経済学研究科)
MRI
34 期待外れを乗り越える心理の神経基盤 小川 正晃
(京都大学・大学院医学研究科)
MRI
35 脳機能画像法を用いたヒト味覚野神経基盤の解明 近添 淳一
(株式会社アラヤ・研究開発部)
MRI
36 機能的MRIによる両価的価値情報の統合処理過程の解明 近添 淳一
(株式会社アラヤ・研究開発部)
MRI
37 自己運動関連脳領域の応答特性に関する研究 蘆田 宏
(京都大学・大学院文学研究科)
MRI

過去の採択一覧・成果

■ 磁気共鳴装置 共同利用実験
(2011年度まで)

■ 生体磁気計測装置 共同利用実験
(2011年度まで)