ご挨拶

2014年1月   伊佐 正 

  新年にあたって

少し古くなりましたが、昨年末に研究室の忘年会(12月26日)の際に発表した昨年の私たちのグループ(認知行動発達、脳プロ事務局、NBR推進室、ウィルスベクター開発室、新分野創成センターブレインサイエンス分野郷さん)の10大ニュース(順不同)は

*「イチャポンズ」(私どもの部門のチーム名)機構ソフトボール大会準優勝。
*郷さん・小川さんというヘビー級新メンバー加入。
*木下君(弘前大准教授)、梅田君(横浜市大助教)昇任・転出。
*笠井君、Gordon Conferenceでoral presentationに選ばれる。
*耐震改修工事終了(皆さん、ご苦労様でした)。
*西村君、論文Neuron誌に発表。
*加藤健治君、総研大学長賞受賞。
*木下君、機構若手研究者賞受賞。
*西村君、経済産業省Innovative Technologies特別賞受賞。
*伊佐、文部科学大臣表彰・科学技術賞受賞。

・・・・でした。後半に挙げたような受賞が続いたのはめでたいことです。他にも、當山君の包括脳ワークショップでのポスター賞受賞、伊佐中国神経科学学会plenary lecture、Tuebingen大学との合同シンポジウム開催、バンコクでのチュラロンコン大学との合同シンポジウム開催、西村君「人工神経接続」論文についての多数の新聞報道、丸山さん特任准教授昇任、郷さん機構若手分野間連携グラント獲得など、いろいろなニュースはありましたが、まあ上記の10件がメインなニュースだったかなと思います。
また、昨年の論文発表についての大きな特徴は、ここ何年か脳プロやCRESTなどでやってきた外部との共同研究関係の論文が多数出たことと、西村君と留学先のワシントン大学との共同研究や、関君と武井君が国立精神神経センターに移る前から生理研でやっていた仕事が発表されてきたことが特徴かなと思います。私(伊佐)自身は、今年はFrontiersに出たウィルスベクター2重感染による選択的経路遮断法の方法論の論文を出すのに手間がかかってしまった他、総説をいくつか書いていたので、新しい原著論文発表は少しペースダウンという感じでした。そういう間に研究者を始めてからの原著論文が100編を超えました。年末の時点で英文原著が102編、英文総説(一部書籍の分担執筆)32編というのが大学院に入ってから29年経過した現在の状況です。少し感慨深いですが、まあよくいう「通過点」かな、と思います。これも、数年前まではほとんどが自分たちが主体になって計画、実験し、書いた論文がほとんどだったのが、ここ2−3年は、我々が取得したデータを他の研究室が解析し、第一原稿は共同研究先が書いた、ないしは他研究室が主体的に計画した実験の一部を担当した・支援したというかたちでの部分的共同研究の論文も加わるようになってきました。最終的にサイエンスの発展に貢献すればそれはそれで良いし、共同研究はお互い様なのですが、やはり業績は単に名前の載っている論文の数だけではないな、ということを改めて実感します。
今年の抱負・・・ここのところ、かつてCREST(2005−2010年度)やHFSP(2005−2008年度)で始めた仕事が概ね仕上がり、今年でほとんどを論文として出し切れるのではないかと思っています。これらは脳・脊髄損傷後の機能回復機構とそれに関わる認知機能の多様な手法を組み合わせた解析というパラダイムの始まりでした。そんなに時間がかかるの?と思われるかもしれませんが多くの共同研究を含む大仕事はそんなものかなと思います。これらは、私たちの研究室が飛躍するきっかけになった一連の研究でしたが、一方で現在はその後の脳プロ(2008−2012年度)や基盤S(2010−2014年度)で新たに始まったパラダイムでの研究が佳境を迎えています。ここで、それまでのテーマにBMI、ECoGや2光子による記録手法のスケールアップ、ウィルスベクターによる回路操作、さらにモチベーションや連合学習というパラダイムが付け加わりました。それらの実験を丁寧に仕上げ、論文にして発表していく作業がこの1−2年の課題だと思いますが、これによって私たちの研究室はさらに一段と高いレベルで多くの人たちにインパクトを与えられるようになれる・・・と思える内容の仕事が現在、目白押しです。それを着実にモノにしていくことが私の重要な役目です。それと同時に次の大きな波に向けての新しい仕込みを始めていくことが重要です。それは、私たちのメインテーマである@神経機能回復、A視覚的意識・注意、B運動出力回路の構造と機能、を「大規模回路」の動態として解いていくために網羅的記録・解析技術と特定回路の操作技術を組み合わせる研究パラダイムを構築していくことです。これは最早個人の作業でできる範囲を超えています。ひとつひとつ焦らず、その都度基本に返って丁寧に組み立てていきたいと思います。

 

 

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 伊佐 正 教授 
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